新・日本紀行(34)二見ヶ浦 「夫婦岩」
日の出の夫婦岩
海がやや荒れ模様で海面が上昇し、注連縄が海面につきそうな夕刻の「夫婦岩」
注連縄で結ばれる夫婦岩
伊勢神宮の両宮を参拝し、或る種、清清しい気持ちになって退出した。
伊勢の市街地より国道42にて二見方面へ向かい、途中「五十鈴川」の汐合大橋を渡る。
「内宮」の清楚な流れはここまで来ると悠々とした大河の流れになっている。
参宮線の「二見浦」の駅前を通過すると、二見が浦のあの著名な夫婦岩は近い。
海岸際の駐車場に車を止めると以外と強い風が海から吹きつける。
海岸歩道にも波の飛沫が吹き寄せていて、チョッと激しい光景である。
伊勢神宮・内宮の西端で御手洗場(みたらしば)が設けられている神清な五十鈴川は伊勢湾に注いでいる。
その二見ヶ浦は五十鈴川によって形成された河口三角州で、今一色から神前岬までの海岸(その名も神前海岸)は日本の渚百選にも選ばれている美しい海岸である。
この海岸に全国的にも有名である「夫婦岩」が、荒波に揉まれているが泰然として昔の姿で在った。 そして、程よい距離間で、大小の岩が注連縄(七五三縄・しめなわ)で結び合い繋ぎあっている。
やはり日本的ないい風景である。
ところで我々が神社に参拝するとき、鳥居や拝殿には注連縄が掲げられているが、その注連縄の意味合いについてはあまり関心を示さないようである。
注連縄をよく見ると、細いものから出雲大社(日本一の注連縄といわれる、詳細後報)のような太さ大きさがまちまちであったり、撚り方(よりかた)も左綯い右綯いと違いがあるようである。
何れにせよ神社の規模に見合った注連縄が飾られ、神域の厳粛な雰囲気を醸し出しているのは確かである。
「注連縄」(しめなわ)の神意
「注連縄」のシメは閉める占めるの意があり、神前または神事の場に不浄なもの侵入を禁ずる印として張る縄のことで、一般には新年に門戸や玄関先、神棚に張る。
藁の茎を捻り撚り、両端より垂れさせ、その間々に紙垂(かみしで)を下げる。
輪じめや輪飾りは、垂らさずに両端を結んだ形である。
「注連縄」の別の意味合い、
注連縄は古い伝承、古神道でいうと、大自然そのものを現しているともいわれる。
大自然そのものの中心になるのが太陽であり天である。 その自然現象を表したのが「注連縄」であるという。
横に張られた大縄の部分が「雲」、垂れた縄が「雨」、神垂(紙垂)が「雷」とされ、その奥まったところが神様の「天」となる。
総じて自然現象の象徴といわれる。
この注連縄を祭りや祭事に付けることにより春祭りの五穀豊穣を祈願し、実りに感謝する秋祭りの意味を持つことになる。
又、注連縄には清浄・神聖な場所を区画するため引き渡される。
従って神社のみならず、巨大な岩や樹木、清浄な井戸、瀧、寺院などにも掲げてることろをよく見かける。
正月、門松とともに戸口に注連飾りを置くのも、上述の意義より家の中に悪霊を入れず、穢れを去り、無病息災・家内安全を願ってのことである。
夫婦岩の夫岩の頂きに鳥居が見えている。
猿田彦大神を祀る「二見興玉神社」の鳥居で、この神は天照大神をこの伊勢の地に導かれ、御鎮座奉った神として知られる。
夫婦岩は神代の昔より日の出の遥拝所として知られており、夏至の日の前後には丁度、夫婦岩の間から朝日が登り始め、その様は神(天照大神)が常世の国を照らし始める如く、実に神々しい限りといわれる。
大きい男岩は高さ9m、周囲39m。 女岩は高さ4m、周囲9m。両岩を結ぶ大注連縄は長さ35m。 5月、9月の各5日、12月の第3日曜日に大注連縄(しめなわ)の張り替えが行われるという。
「夫婦岩」に関しては「全国夫婦岩サミット連絡協議会」なるものが有り、海、山、川などの夫婦岩の名の付く同志が親睦をはかっているとか。
今は風波に煽られ、夕景せまる夫婦岩であるが、記念の写真を遺して辞した。
次回は「鳥羽」
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