新・日本紀行(33)伊勢神宮 「外宮・豊受大神宮」
伊勢神宮・外宮参道略図
伊勢神宮・外宮御正殿
次に、神饌の宮とされる伊勢神宮・外宮へ参ります
夕刻せまる内宮の参拝と見学を厳かのうちに終えて辞した。
神宮会館から猿田彦神社を左折して伊勢の市街方面へ向かう。 市街地(伊勢市役所)の一角に「外宮」は在った。
ほぼ道路に面したところに駐車場があり、ここからすぐに表参道に出た。
掘川(防火用の水を保全)の流れの火除橋(ひよけばし)を渡ると、手水舎と第一の鳥居がある。 左奥に森に囲まれた清美な「勾玉池・まがたまいけ」が見渡せる。
勾玉は古代の装身用の玉で、独特の形でヒスイやメノウを材料とし、形は縄文時代の動物の犬歯に似せたものという、池は勾玉を形どったものである。
この池では時期になると湖面に舞台を設えて「観月会」の行事などもあるという。
手水舎で手と口を清めて、続いて二の鳥居くぐると右横にある入母屋造の建物は「外宮神楽殿」、「御神札授与所」である。
内宮と同様、神楽舞の奏上や豊受大神宮の御神札・御守・暦などの授与を取り扱っている。 また内宮同様、御遷宮の造営資金の献金の受付もしている。
九丈殿を過ぎると外宮の御正殿が在った。
正式には「豊受大御神(トヨウケノオオカミ)」といって、御饌(みけ)、つまり神々に奉る食物をつかさどる神である。
このことから衣食住、広くは産業の守護神としてあがめられている。
皇大神宮・内宮より遅れて、雄略天皇の御代に丹波の国(天橋立付近)から、この伊勢の国の当地に鎮座されたとする。
天照大神が、伊勢神宮に鎮座してから482年後の雄略天皇22年(478年)に、雄略天皇は夢で天照大神の神託を聞いたという。
「 わたしは高天原にいて、探し求めていた場所に鎮まることができた。
しかし、私だけではとても不安であり、食事も安心してとることができないので、丹波国 の比治の真奈井にいる等由気大神(トヨウケノオオカミ)を、私の御饌都神として私の許 へ呼び寄せてほしい。 」
天皇は驚いて、豊受大神を丹波国の比治の真奈井原から伊勢の山田ヶ原に遷して、社殿を建てて祀り始めた。
またそれ以来、御饌殿を建て毎日朝夕に御饌をお供えするようになった。
こらが外宮の起源を語ると同時に「日別大御饌祭」の起源にもなっているという。
「日別朝夕大御饌祭」(ひごとあさゆうおおみけさい)とは、毎日朝夕の二度、内宮の天照大御神、外宮の豊受大神宮、両宮の相殿神(あいどのかみ)、更に、十四の別宮の神々に食事を奉る祭りである。
外宮がここに移された1500年前から一日も休むことなく、永々と続けられてきている。
大御饌祭の食材は自給自足が原則である。
神々の食事の基本は水と御飯と塩、これに四季折々の野菜・果物、魚、海草などで構成される。
食器は土器で、神宮の施設で土器調整所で作られ、1回使用すると土に返される。
忌火屋殿はいわば調理室、前夜から斉館にこもって身を清めた神職が、火きり具(火をおこすための道具、発火具)を使って火を起こし調理する。
この火きり具は静岡・登呂遺跡で発見されたのと同じ仕組みだといわれる。
そして調理された食事は、正宮をかこむ御垣の内側に建つ御饌殿(みけでん)に運ばれ、神々に供せられる。
内宮が伊勢の地に創建された二千年前から、儀式は形を変えず受け継がれ、社殿は20年毎に行われる式年遷宮によって新たに建て替えられ、忠実にその姿が継承されているのである。
伊勢神宮が日本の澪標(みおつくし:みちしるべ・・)たる理由であろう・・!。
社殿は「唯一神明造」と内宮と同形ながら、鰹木や千木が若干相違しているという。
隣に空地があり「古殿地」と称して内宮と同じ、やはり20年毎の「式年遷宮」を執り行なう。
参拝を済まして帰り道は、「北御門口参道」からの退出し、こちらにも火除橋がかかっていた。
因みに外宮の別宮は「多賀宮」、「風宮」、「土宮」は境内神域に鎮座するが、もう一つの別宮「月夜見宮」は天照大御神の「弟神」をお祭りしている。
「社宮」は市のほぼ中央の繁華街に位置し、外宮の北御門から真っすぐ月夜見宮に至る道が延びている。この参道は、神様の通う道であると信じられ、現在もこの道は地元の人々に「神路通り」と呼ばれ、親しまれてるという。
次回は、神宮の「式年遷宮」
【小生の主な旅のリンク集】
《日本周遊紀行・投稿ブログ》
GoogleBlog(グーグル・ブログ) FC2ブログ seesaaブログ FC2 H・P gooブログ 忍者ブログ
《旅の紀行・記録集》
「旅行履歴」
日本周遊紀行「東日本編」 日本周遊紀行「西日本編」 日本周遊紀行 (こちらは別URLです) 日本温泉紀行
【日本の世界遺産紀行】 北海道・知床 白神山地 紀伊山地の霊場と参詣道 安芸の宮島・厳島神社 石見銀山遺跡とその文化的景観 奥州・平泉 大日光紀行と世界遺産の2社1寺群
東北紀行2010(内陸部) ハワイ旅行2007 沖縄旅行2008 東北紀行2010 北海道道北旅行 北海道旅行2005 南紀旅行2002 日光讃歌
【山行記】
《山の紀行・記録集》
「山行履歴」 「立山・剣岳(1971年)」 白馬連峰登頂記(2004・8月) 八ヶ岳(1966年) 南ア・北岳(1969年) 南ア・仙丈ヶ岳(1976年) 南アルプス・鳳凰三山 北ア・槍-穂高(1968年) 谷川岳(1967年) 尾瀬紀行(1973年) 日光の山々 大菩薩峠紀行(1970年) 丹沢山(1969年) 西丹沢・大室山(1969年) 八ヶ岳越年登山(1969年) 奥秩父・金峰山(1972年) 西丹沢・檜洞丸(1970年) 丹沢、山迷記(1970年) 上高地・明神(2008年)
《山のエッセイ》
「山旅の記」 「山の歌」 「上高地雑感」 「上越国境・谷川岳」 「丹沢山塊」 「大菩薩峠」 「日光の自然」