新・日本紀行(37)紀伊地方 「古代伝承の地」
贄湾
南島町の海岸は三陸海岸に似た、典型的なリアス海岸である。
リアス海岸というのは三陸地方でものべたが、スペイン北西部、ガリシア地方のリアというところで多く見られることから命名されたといわれ、スペイン語でリア (ria) は深い入り江を意味する。
日本では岩手県の三陸海岸や志摩半島から南紀にかけての海岸線、また福井県の若狭湾沿岸、福岡県・佐賀県の玄界灘沿いなどが代表的なリアス海岸である。
その海岸、又は海岸線は入り組んだ地形をしており、「溺れ谷」といわれる地形が連続している状態をいう。
溺れ谷とは陸上部の谷筋が、海面の上昇や地盤の沈降で海面下に沈んでできた湾のことで、最終氷期の1万年から5千年前までの海面上昇で世界中の海岸にできたといわれる。
大きな川の河口近くなどでは砂泥に埋められて平野となったが、土砂泥の供給の少ない所にこのような地形が残っているという。
国道260号線が走る複雑な海岸線の高台から見下ろす贄湾(にえわん)の入組んだ浦の風景が良い。
島を挟んで阿曽浦と贄浦を結んでいる大小の橋が遠望できる
以前は、砂洲や海崖で形成されていたため、険しい陸路しかなく、渡船が主な交通手段だったという。 しかし、南島大橋と阿曽浦大橋の親子大橋が架けられたことにより、現在では阿曽浦から最短の距離での行き来が可能になった。
又、海と空の青、山の緑に映える美しいピンク色の橋は町のシンボルにもなっているとか。
入り組んだ内湾、阿曽浦では、真珠養殖やヒオウギ貝がとれ、外海では伊勢エビ刺網や真鯛の養殖も行われているという。
相変わらず屈曲した山のアップダウンロードや幾つかのトンネルを抜けると、広大な神前湾が望まれる。 その名も神前浦というところには、仙宮神社というお宮があり、ここには「猿田彦命」を祀り伊勢神宮に関わりの深い神社といわれる。
又、仙宮(せんぐう)神社の浜寄りの道路わきに老松に守られるようにしてひっそりと佇んでいる「倭姫命腰掛岩」というのがあった。
伊勢に向かう旅の途中、倭姫命はこの地を通り旅の疲れを癒そうと休憩されたという伝説があるという。
伊勢内宮の手前に猿田彦命と倭姫命が少々離れて祀ってあるが、どちらも伊勢神宮遷宮に所縁のあるミコトである。
その由緒は倭姫命が天照大神を祀るのに相応しい地を求めて諸国を巡っていたとき、猿田彦の子孫である大田命(おおたのみこと)が倭姫命を先導して五十鈴川の川上一帯を献上したとされている。(伊勢神宮)
大田命の子孫は宇治土公(うじのつちぎみ)と称し、代々伊勢神宮の玉串大内人(伊勢神宮などで諸務をつかさどった官人)に任じられている。
南島町には神前浦、神前湾などの呼称もあり、いかにも神宮に縁のありそうな名前である。
次回、神武天皇上陸地
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