新・日本紀行(21)浜松 「遠州・浜松」
浜松大橋
浜松まつり
楽器と自動車産業の活気ある町・「浜松」
R150はバイパスの「遠州大橋」を指していた。
海岸に迫る「あばれ天竜」の有料大橋(100円)を渡ると、間もなく天下の国道1号線に合流する。
この辺り浜松の高層ビルが覗える。
浜松市は2005年7月1日に平成の大合併による県西部の11市町村(浜北市、引佐町、細江町、三ケ日町、雄踏町、舞阪町、天竜市、佐久間町、水窪町、龍山村、春野町)を編入大合併したことで、人口、面積とも静岡市を上まわり県内最大となっている。
国内の市としても高山市に次いで2番目に広い広域自治体で、2007年4月には政令指定都市移行をめざしているという。
面白いことに、浜松市民の中には静岡県の県庁所在地である静岡市に対してのライバル心が多く見られるという。
産業面では常に優位に立ち、合併によって人口、面積とも上まわり、更にその意識は強くなっているとも・・?。
又、名古屋の衛星都市として見られるのを嫌い、一方、浜名湖を挟んだ豊橋市とは「相愛関係」にあるという。
豊橋は昔の三河地方であり、風土から政治色まで浜松の遠州地域と似ている部分が少なくないためだとか。
浜松には「浜松まつり」という、勇壮な大イベントがある。
毎年5月3日から三日間にわたって開催される凧揚大会で、G・W期間では全国有数の人出で賑わう人気の祭りだ。
主に町単位で参加し、男子誕生による端午の節句にちなんだ初凧と、町同士が凧糸の切り合いを行う凧合戦の二つからなっている。
古来、浜松城下の各種職人町同士の対抗意識から自然発生的に生まれた祭りであったらしく、特に糸きり凧揚げ合戦は通称「喧嘩凧」といわれ、人々の意識を高揚させ、競争意識、対抗意識を助長しているともいわれる。
室町期より存在したといわれる永く伝統ある浜松祭りは、浜松人独特の気風を醸成していったのかも知れない。
だが、何といっても浜松市(主に旧市域)は工業都市として有名であり、製造品出荷額は約2兆円を超えるという。
浜松の工業の大半は小規模工場であるが楽器、自動車・オートバイに関連する大企業は世界的にも著名であるのは周知である。
特に、「日本の楽都」と呼ばれる程、楽器産業が盛んな都市で、特にピアノは全国シェアの100%を占める独占産業である。
市内にはヤマハや河合楽器製作所、ローランドの本社がある。
ヤマハは、山葉寅楠(やまは とらくす:和歌山市出身、山葉家は紀州藩士の家柄である)がオルガンを製作したことから始まったという。楽器工業の他には、半導体・スポーツ用品・自動車部品メーカーで、本業の楽器以外に様々な分野で事業展開している総合企業、グローバルメーカーである。
御存じ、オートバイは子会社「ヤマハ発動機」として独立している。
河合楽器は日本の楽器メーカーとして世界第2位のシェアを占める。 ヤマハに勤務していた河合小市が独立し、河合楽器研究所を設立したのに始まる。
ピアノを中心とした楽器製造・販売のほか、近年はカワイ精密金属等(長野県)でピアノの部品素材のノウハウを生かした半導体素材の生産も行っている。
あの連合赤軍あさま山荘事件(1972年2月19日に始まる、軽井沢にある河合楽器の保養所「浅間山荘」において連合赤軍が起こした事件である)として、当時、連合赤軍に占拠された軽井沢の浅間山荘を所有していたのは、河合楽器であった。
この二大メーカーが、1960年代の高度経済成長とともに浜松の楽器産業は飛躍的に発展し、世界的な楽器の生産地となっている。
輸送機器 では本田技研工業の創業の地で、現在もオートバイ(中型・大型二輪車)の主要工場がある。
また、スズキの本社工場もあり、浜松のヤマハ(厳密には隣の磐田市)、スズキ、ホンダの三社が、日本はおろか世界のオートバイ産業をリードしているといっても過言ではない。
現在の浜松のオートバイ産業は、全国の60%以上を占めている。更に軽自動車は50年前(1955年)に日本で初めて浜松地域で製造されて以来、全国の30%以上を生産され、小型四輪自動車も、浜松は全国有数の生産地域となっている。
浜松は江戸時代から綿織物の産地として栄え、明治時代には現在の「笠井」を中心として綿織物の大生産地となっていた。
これらの産業基盤が、現在の機械産業の基礎と成っているとも云われる。
自動車メーカーのスズキは、大正期・鈴木式織機株式会社(創業者・鈴木道雄氏)として設立 し発足している。
因みに、トヨタ自動車は豊田織機が前進である。
次回、浜松の「鈴木さん」
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